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メール認証

pct タグ(Percentage)

2026年4月17日 更新

概要

pct タグ(Percentage) は、DMARC レコードの pct= タグで指定する設定で、認証に失敗したメールのうち何パーセントにポリシー(p= の値)を適用するかを制御します。RFC 7489(2015年)で定義されています。

pct=100 がデフォルト値で、認証失敗メールの 100% にポリシーを適用します。pct=10 であれば、認証失敗メールの 10% にポリシーを適用し、残り 90% は 1 段階低いポリシーで処理します。p=reject かつ pct=10 の場合、10% が reject、90% が quarantine 相当になります。

pct タグは DMARC ポリシーを p=none から p=quarantine、p=reject へ段階的に強化する際のリスク軽減手段です。一度に全メールにポリシーを適用するのではなく、徐々に割合を上げることで、設定ミスによる正規メールの拒否を最小限に抑えます。

仕組み

受信サーバーは pct の値に基づいて認証失敗メールのうち何割にポリシーを適用するかをランダムに決定します。

適用率の動作

受信サーバーは DMARC 認証が fail したメールに対して、ランダムまたは一定のアルゴリズムで pct の割合に基づいてポリシーを適用するか判断します。

pct 値p=quarantine の場合p=reject の場合
100(デフォルト)100% quarantine100% reject
5050% quarantine、50% none50% reject、50% quarantine
1010% quarantine、90% none10% reject、90% quarantine
0全て none全て quarantine

p=reject で pct が 100 未満の場合、ポリシー適用対象外のメールは p=quarantine として処理されます。p=quarantine で pct が 100 未満の場合、対象外は p=none として処理されます。

段階導入のフロー

典型的な DMARC 段階導入は次のステップを踏みます。

  1. p=none でモニタリング開始(2〜4 週間)
  2. p=quarantine; pct=10 で少量から適用開始
  3. rua レポートで問題がないことを確認しながら pct を引き上げる
  4. p=quarantine; pct=100 で全量適用
  5. p=reject; pct=10 で reject を開始
  6. p=reject; pct=100 で最終形に移行

各ステップで rua レポートを確認し、正規メールが fail していないことを検証します。

sp タグとの関係

pct タグは p= と sp= の両方に影響します。サブドメインポリシー(sp=)に対して個別に pct を設定することはできません。pct=50 を指定すると、親ドメインのポリシーもサブドメインポリシーも同じ 50% の適用率になります。

設定例

pct の値を段階的に引き上げる典型的なパターンを quarantine と reject で示します。

quarantine を 25% から開始

_dmarc.example.com.  IN  TXT  "v=DMARC1; p=quarantine; pct=25; rua=mailto:dmarc@example.com"

認証失敗メールの 25% を迷惑メールフォルダに振り分け、75% は通常配送します。

reject を段階適用

_dmarc.example.com.  IN  TXT  "v=DMARC1; p=reject; pct=10; rua=mailto:dmarc@example.com"

認証失敗メールの 10% を受信拒否、90% は quarantine 相当にします。

最終形(pct=100)

_dmarc.example.com.  IN  TXT  "v=DMARC1; p=reject; pct=100; rua=mailto:dmarc@example.com"

pct=100 は省略しても同じ動作です。意図を明確にする目的で明示することもあります。

確認方法

DMARC レコードの pct タグは dig で確認できます。

dig TXT _dmarc.example.com
;; ANSWER SECTION:
_dmarc.example.com.	3600	IN	TXT	"v=DMARC1;p=reject;pct=50;rua=mailto:dmarc@example.com"

pct=50 が設定されています。タグが存在しなければデフォルトの 100 です。

外部の視点からも確認したい場合は、Labee Dev Toolbox の Mail Auth API を使うと、外部の視点から見た結果を取得できます。

curl "https://labee.dev/api/mail-auth?domain=example.com"
{
  "success": true,
  "data": {
    "spf": { "record": "v=spf1 include:_spf.google.com ~all", "exists": true },
    "dkim": { "record": "v=DKIM1; k=rsa; p=MIIBIjANBgkqh...", "exists": true, "selector": "default" },
    "dmarc": {
      "record": "v=DMARC1; p=reject; pct=50; rua=mailto:dmarc@example.com",
      "exists": true
    },
    "bimi": { "record": null, "exists": false }
  },
  "error": null,
  "meta": { "responseTime": 123 }
}

data.dmarc.record フィールドから pct= タグの値を確認できます。

よくある問題

pct の放置や不適切な値設定は、DMARC ポリシーの保護効果を損ない、BIMI の表示条件にも影響します。

pct を下げたまま長期間放置する

pct=10 のまま何か月も放置すると、認証失敗メールの 90% はポリシーの保護を受けていない状態です。rua レポートで問題がないことを確認したら、段階的に pct を引き上げて最終的に 100 にします。

pct=0 を設定する

pct=0 は一見すると「ポリシーを適用しない」設定ですが、実装によって動作が異なります。RFC 7489 では pct は 0 から 100 の整数と定義されており、0 は有効な値です。ただし p=none と同等の動作になるため、一時的にポリシーを無効化したい場合は p=none に変更する方が意図が明確です。

BIMI との関係

BIMI は p=quarantine 以上かつ pct=100 であることを要件とする場合があります。Gmail で BIMI ロゴを表示するには、pct が 100 である必要があります。pct が 100 未満の場合、DMARC ポリシーは p=quarantine 以上でもロゴは表示されません。

rua レポートなしで pct を引き上げる

集計レポートなしで pct を引き上げると、正規メールの認証失敗を検知できません。rua= は必ず設定し、各ステップで 1〜2 週間のレポートを確認してから次の段階に進みます。

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